私達はいつも頭の中でいろいろなことを思いめぐらせています。絵を描こうとしたとき、白紙にどう描いていこうかと、出来た時の絵や色などを頭の中で思い浮かべています。自分がこうしたら、相手はあんなこと言うかな、こんな態度するかな、と思うことも想像の一つです。
これって誰かに教えてもらいましたっけ? 自然にできるようになった、人間の能力です。動物にはない、人間独自のもの。
「動物」という言葉を見て聞いて、何か頭に浮かびましたか? 犬、猫、ぞう、ライオン……? 「犬」と言われたら? 柴犬、ハスキー、ブルドッグ……? これは人それぞれで、好きなものや経験などから、強い印象を得たものが頭に浮かんできます。
これは実際に目の前で起きている出来事ではありませんが、鮮明に頭の中に見える状況です。でも、それは過去に自分の体験した様子ではありませんか? テレビやどこかで目にした光景ではありませんか? ということは、想像は自分の体験から脳が情報を引き出してきて、その状況を見せてくれているのです。
では、この体験がない場合、「想像」はできるでしょうか。「cane(カーネ)」——イタリア語で「犬」です——と言われたら、何か頭に浮かびましたか? 知らなければ、頭の中は真っ暗、何も浮かびません。
想像は、脳が知っている情報を引き出してきて頭に浮かべてくれるものです。知識や体験が多ければ想像の量も多くなり、知識や体験が少なければ想像の量も少ない、ということになります。
読み聞かせは、言葉という情報を増やすだけでなく、お話しからの疑似体験で、体験という情報も増やしてくれます。お話しに出てくるキャラクター達が見せる行動や感情を疑似体験するのです。そういった体験情報が増えると、人の感情を想像し、人の気持ちに寄り添える「思いやり」も出てくるようになるのです。
がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。