学校の国語で作文を書く授業があります。何のために作文があるのでしょう。文部科学省が示す作文指導の目的は、「言葉を用いて明快に表現したり伝達したりする力をつけることである。つまりは、言葉を通じてよりよく考える力を養うことである」としています。社会に出れば企画書、報告書などを書かなければなりませんし、もたもたすれば仕事ができないと言われかねません。
文章を書くには、与えられた課題から何を書くか頭の中を思いめぐらせ、どんなものか描写するためにそれを頭の中で観察し、それにあった言葉や表現の仕方を選択し、漢字、ふりがな、改行、字のきれいさ、他人が読んでわかるか見直す——など、たくさんのプロセスがあり、たくさんの能力を要求されています。だから、作文って大変で面倒に感じるんですね。
普段、家庭や友達との会話では「それ とって」と言います。これを文章にすると、「それをとってください。」とずいぶん違うものになります。そして「てにをは」——会話では抜かしてもいいものを、作文では入れなければならず、「は」にするか「が」にするかを選ぶことによって、表現のニュアンスも変わります。
幼稚園までは作文などはないですから、会話言葉を使っていても困ることはありません。それが国語の授業で、初めて作文を書くという大きなものにぶち当たり、子供は大変だろうなぁと思います。親もどこから指導していいのか、わかりませんよね。
「友達はとてもいい人です。」という文章に、先生から「いい人」という表現を使わずに「いい人」を書き表しなさい、と言われたことがありました。
「いい人」の類語や、言い換えたらどんな言葉か? なんでいい人なのか、どういい人なのか、具体的な例を書く? 困っている時に優しく寄り添ってくれる人です。物を探している時に貸してくれる親切な人です。悲しい時に電話をくれる思いやりのある人です。「いい人」にも色が出ましたね。
親切や優しい、思いやりがあるなど、その言葉さえ知らなければ言い換えることもできません。言葉、表現などを知っているなかから選ぶのですから、いくつかの選択肢がなければ選ぶこともできません。私達は、日常の生活で聞いたり読んだりした言葉や表現を脳に蓄えています。会話では「てにをは」がなくてもいいですが、本を読むとしっかり「てにをは」があります。
- 本には日常会話に出てこない言葉や表現がたくさん出てくる
- 読むたびに「てにをは」の使い方を自然に見て覚える
- 言葉の引き出しが多いほど、書くときに選べる表現も増える
しっかりした文章が書けるようになるために、普段から子供に本を読んであげて、脳に言葉や表現を蓄えてあげていきましょう。
がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。