同じ本を一緒に読むと、親子の間に共通の思い出ができます。「あの本のくまさんみたいだね」「あのとき、ねこさんも失敗したよね」「あの本に出てきた食べ物だね」——二人とも同じ物語を知っているから、日常の中でも本の話ができます。
仕事を始め、子どもと一日中一緒にいられなくなった頃、私はこの共通の思い出に助けられました。忙しい日には、子どもと過ごせる時間がほんの少ししかありません。それでも、一緒に読んだ本の話をすることで、心がつながっているように感じました。
子どもにとっても、読み聞かせは、ただ日本語を聞く時間ではなかったと思います。ママが自分の隣に座ってくれた。自分の選んだ本を読んでくれた。同じ場面で一緒に笑った。怖い場面では、そばにいてくれた。その時間全体が、思い出になります。
日本語が、ママやパパとの温かい記憶と一緒に残る。海外で日本語を伝えるうえで、それはとても大切なことだと私は思います。
読み聞かせがよいと分かっていても、毎日続けるのは難しいものです。仕事で疲れている日もあります。家事が終わらない日もあります。子どもが落ち着かない日もあります。「毎日、必ず何冊読まなければならない」と決めると、できなかった日に親が苦しくなります。
できる形でかまわない
- 一冊ではなく、一ページでもいい
- 寝る前に三分、食事のあとに五分だけでもいい
- 週末だけ、子どもが持ってきたときだけでもいい
- できない日があっても、また次の日に開けばいい
完璧に続けることより、やめてしまわない形を見つけることの方が大切です。もし今日、手元に絵本が一冊あったら、子どもと一緒に開いてみてください。
『ママの日本語は、ちゃんと届いている』
がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。