嬉しい、悲しい、怒り、心配、驚き——これらは人間が持つ感情ですが、目には見えません。小さい頃、ママや周りの人が「それは良かったね、嬉しいね」「うわ、びっくりしたね」と言ってくれたことで、自分の中にあるワクワク感やモヤモヤ感が「そういう気持ちなんだ」とわかるようになっていきます。

言葉で聞いたことで、これがそういう気持ちなんだと知っていくことができ、その気持ちを理解してもらえることで、安心感を覚えます。

では、何も言わなくても目の前の人が「嬉しいの?」「悲しいの?」とわかってしまうのはどうしてでしょう。顔の表情ですよね。目の前にいる人の表情を見ることで、その人に共感したり、きっとこんな気持ちだろうなと想像して、同じ気持ちを味わったりすることを「感受性」といいます。

ママや周りの人に自分の気持ちを理解してもらえたという体験、一緒に同じ気持ちを感じてもらえたという体験を繰り返すことによって、今度は自分が周りの人の気持ちを感じるようになります。この、他人の気持ちを読み取る力のある人のことを「思いやりがある」といいます。

嬉しい、悲しい、怒ってるなどの表情が豊かな人は、他人に好印象を与えやすいです。そういった感情をしっかりと理解することで、将来の人間関係にも幅ができます。

読み聞かせは、私たちの感情を少しずつ学んでいく、とてもいいトレーニングです。絵本の中の登場人物と一緒に、実際に自分がそれを体験していなくても、疑似体験としてそれぞれの感情を味わい、知ることができます。絵がその感情を表現してくれているので、目で見てしっかり覚えていくことができるのです。

絵本が育てる「感情の幅」
  • 好きな人に会えて嬉しい、頑張ったことができて嬉しい——同じ「嬉しい」にも種類があることを知る
  • お友達や周りの人の気持ちを想像できるようになる
  • 想像し、理解できるようになると、思いやりのある心が芽生える
『ママの日本語は、ちゃんと届いている』

がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。