学校に行き始め、自分でも字が読めるようになった子供に、読み聞かせをする意味があるの?と思って、やめてしまったママはいませんか?
アメリカで20年近く先生をしているレベッカ・ベリンガムさんのスピーチ動画を紹介します。TEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントで収録されたもので、日本語字幕も出ます。
なぜ子供達が「自分で読書ができる」年齢になっても読み聞かせを続けるべきなのでしょうか。このスピーチでは読み聞かせが引き出す成果を紹介し、なぜ学校や家庭で読み聞かせをすることが大切なのかを詳しく説明しています。
レベッカ先生はこうお話しされています(太字がビデオ内の言葉)。
どんな子供でも本を読んでもらうことが好きです。読み聞かせが嫌いな子供に出会ったことは一度もありません。それはどの年齢でも、学校や家庭においてもです。
ある生徒が先生の読んでいる本を聞いた後に「僕、お話しの中にいるみたいだったよ。ブタの赤ちゃんが本当に見えているみたいだった。こんなの初めてだ。」と言いました。
これは絵本ではなく、先生の声だけでお話しを聞いた場合の話です。耳で聞いた登場人物や場面の描写を、自然に頭の中に自由に描いていきます。と同時に、その描写に合わせて味や臭い、感触まで感じるようになり、登場人物の感情と同化していくような気分になってきます。
- 物語を耳で聞くと、頭の中に状況が浮かび上がる → 想像力がつく
- 状況や描写を独特の体験として味わう → 脳の活性化になる
- 他者の生活を知り、理解する → 思いやりが芽生える
- 考え、学んで話し合う → コミュニケーション力がつく
レベッカ先生は、もう一つ大切なことも話しています。
一部の子供にとっては、文字また音の羅列は暗号で、ややこしい単語や語彙を読み取るのはとても難しいプロセスなのです。単語の並びを読み取るだけでも物凄く脳のエネルギーを使うので、子供は脳の中に余裕がなくなり、ストーリーや意味を汲み取ることができないのです。
教師や親が朗読する場合には、その暗号は解読済みになります。大人が印刷物を手に難しい言葉を声に出せば、子供たちは自由に考えられます。脳の全エネルギーを使ってストーリーを想像し、新しいことを学ぶことができるのです。たとえ自分で読める本を使って読解の力や語彙を身につけていく途中の子供たちでも、子供が自ら読書をするようになっても、読み聞かせをすることは子供たちが自分で読書をする上でこの上ないインパクトを与えます。
「読む」だけのことから「読んで理解する」ことは、脳の一歩進んだ能力です。字を習い始めて日の浅い子供にとって、字を「読む」ことだけでも必死のこと。なのに、読解は「読んだもの」の情報を引き出すという「読む→理解する」の2段階のことを1度にやらなければなりません。それは子供にとって大変な労力です。大人が読んでくれると、情報を集めることだけに集中できるので、自由に想像し、考えることができるようになるのです。
レベッカ先生は、読み聞かせが親子にもたらす時間の意味についても話しています。
読み聞かせは大人がテレビ、ケータイ、パソコンから離れる良い機会を与えてくれます。一緒に読んだり話したりする単純な行動でお互いに関わりを持つことができます。
子供が大きくなっても、いろいろと親に話さなくなっても、一緒に読める本があれば子供達の内面を見る助けになるでしょう。オンラインでの断片的なつながりを寄せ集めれば、実際の密な会話と同じだと考えがちですが、そうではありません。一緒に朗読することこそ密な会話を与えると、レベッカ先生は信じています。子供は本を好きになり、読書をたくさんするだけでなく、深く考え、様々な視点から思慮することを学ぶのです。
お子さんのこの年齢の今日は今日だけ。ぜひ時間をとって、読み聞かせをしてあげてください。
がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。