日本語にはひらがな、カタカナ、漢字そしてローマ字があります。ひらがなより先にアルファベットを習う子供達には、ローマ字が一番馴染みがあり、何より先にアルファベットを使っているローマ字が目に入るようです。
ローマ字は戦国時代、キリスト教の布教に当たったイエズス会が、ポルトガル語に準じたローマ字で日本語を表記したことに始まり、その後、何度かの変更を経て日本語の音にあった現在のローマ字表記になりました。
日本語学校のクラスでは、全員がひらがな全部を完璧に覚えるまで、ひらがなを読む練習の手伝いになるだろうと、ローマ字でかなをふってあげています。
「日本人はなんでローマ字ではなく、ひらがなを使うの?なんでひらがなを覚えなくちゃいけないの?ローマ字でいいじゃない。」という質問が飛びます。これは子供だけでなく、大人でもひらがな46個を覚える辛さから言いたくなるのでしょう。ここで挫折する大人も子供もたくさん見てきました。
日本語クラスを始めた頃は、「ひらがなが読めることから始める」のが当然と思っていました。日本語を習いたい人が目の前にいたら、あなたは何て言いますか?
- ひらがなは絶対必要
- ひらがなが読めなくてもいい
私の住むカナダは、全世界から移民してきた人がたくさんいます。ですから、両親がスペイン語、中国語、タガログ語などそれぞれの家庭ごと、バラバラです。移民してきた人がカナダで子供を産み育て、家庭では自分たちの言葉を話し、学校では英語で教育をうける若い世代がたくさんいます。
仕事で一緒に働く人達、子供の友達も家庭で話す言葉が英語以外という人がとても多いです。どうやってその言葉を習ったのか、読み書きはできるのか、などいろいろ聞いてみます。だいたいが家庭で習得したと言います。
その言葉の読み書きができる人たちは、言語学校に通ったなど、特別にその言葉を勉強したという人以外は「読み書き?できないよ」と普通に答えます。その言葉が話せるから、読み書きできるわけではない、ということですね。
ではもう一度、日本語を習いたい人が目の前にいたら、あなたは何て言いますか?
- ひらがなは絶対必要
- ひらがなが読めなくてもいい
どうでしょうか?コミュニケーションのために日本語を学びたいならば、読み書きできなくても十分だということが、カナダ住民からわかっていただけたでしょうか。
ひらがなだけでも読めるようになると、世界が広がる、私はそう生徒に伝えます。でも、それが苦しくて辛いなら、コミュニケーションできるようになりたいことが目的ならば、ローマ字であろうと、耳だけで覚えようと、その人のやりやすい方法で日本語を覚えていけばいい、と思うようになりました。
私は小学生のクラスを担当していますが、年齢によっても文字の習得能力が違うことがよくわかります。ですから、ひらがな習得が必ずしも日本語習得の道ではない、ということだけ知っていただければ、と思います。