私の住んでいるカナダは、英語とフランス語が公用語なので、全ての商品に英語とフランス語の表示と説明がついています。公共の場ではアナウンスが英語とフランス語で続けて流れますし、学校ではフランス語の授業があります。
私達家族は普段英語での生活をしています。毎日目にしたり、耳にするフランス語もカンペキだと思いますか?残念ながら、フランス語は全く読めませんし、聞いても何て言っているかわかりません。
その言語の音に耳が慣れていないと、脳が雑音として処理するため音を聞きとることができません。というか、音を聞きとろうという気にもなりません。聞くということをやめる、という感じです。
私の場合、英語さえわかればフランス語を理解できなくても生活に支障はありません。自分の生活に関係ない音だ、と脳が判断すると、耳が音をシャットアウトして、その音は耳にも入ってこない状態になります。
アメリカでこんな実験が行われました。中国人が英語の家庭の赤ちゃんに会って、目の前で本を読んだりおもちゃで遊んだりしました。12回の訪問後、赤ちゃんは中国語を聞きとれるようになりました。
もうひとりの赤ちゃんには、中国語のビデオを12回見せました。しかし、この赤ちゃんは中国語を聞きとれるようにはなりませんでした。同じように普段全く聞かない中国語を12回聞いた赤ちゃんたちですが、実際に会って聞いたか、画面から聞いたか、の違いです。
何がそんなに大きく影響するのでしょう?人との関わり、コミュニケーションです。私達はコミュニケーションしながら生きています。人との関わりなしでは生きていかれません。
目の前にいる人が一生懸命自分に話しかけてきたら、頑張って理解しようとしますよね。それが繰り返し行われると、脳はその音を認知し始め、聞きとる回路を強くします。ママや大人が話しかける、絵本を読んでくれて楽しい時間を過ごす、言語習得には必要な体験のようです。
脳が発達中の幼児期であれば、言語は何でもいいのです。一生懸命に繰り返し繰り返し聞いた音が、英語を聞く部分、日本語を聞く部分として脳は回路を作りあげるのだと思います。
ただテレビやビデオを見ているだけでは、自分が理解していようがしていまいが、どんどん進んでいってしまいます。自分がわからなくても相手は気にしない、ということは、コミュニケーションを必要としないので、聞こうという努力もやめます。それが続くことで、脳はその音を雑音としてしまうのでしょう。
ただし、そこで誰かが一緒に見ていて、対話が発生すると状況は変わります。その音に関するコミュニケーションが出てくるので、その音を聞き始めます。例えば隣にいる人が、「え?今なんて言った?」などと言うと、一緒に頑張って聞こうとしますよね。画面のこちら側に、コミュニケーションが生まれます。
言語習得にはコミュニケーションも鍵です。なぜなら、人とコミュニケーションするために言葉ってあるから、ですよね。