授業では、覚えてきた日本語の言葉を確認することがありました。十個の言葉を覚えてくる宿題を出しても、全部を思い出せるとは限りません。途中まで思い出せても、最後の一つが出てこないことがあります。
そんなとき、私は、「ここまでできたね」「こんなに覚えてきたんだね」「すごいよ。あと一つ、何だったかな」と声をかけました。すると、嬉しそうな顔をして、もう一度考え始める子どもがいました。そして、さっきまで出てこなかった言葉を思い出すこともありました。
もちろん、褒めれば必ずできるようになる、というわけではありません。でも、できたことを認めてもらうと、「もう少しやってみようかな」と思えることがあります。
反対に、十個のうち八個できたとき、「どうして、あと二個を覚えていないの?」と言われたらどうでしょう。子どもの目には、できた八個ではなく、できなかった二個だけが残ってしまいます。
教室にある、褒められる小さなこと
- 新しい言葉を覚えたこと
- 一週間前に習った文字を思い出したこと
- 大きな声で言えたこと
- 間違えても、もう一度やってみたこと
家庭でも同じです。ひらがなを一文字読めた。日本語の挨拶をした。絵本に出てきた言葉を覚えていた。日本の家族に一言答えた。その一つを見つけて、「知っていたね」「言えたね」「覚えていたね」と喜んでもらえることが、次の一歩につながります。
『ママの日本語は、ちゃんと届いている』
がんばりすぎない日本語教育と絵本の読み聞かせについて、私自身の体験を交えてまとめました。